集団食中毒事故から5年、八潮市公設給食センター設置へ大きく前進、安全・安心な給食体制構築へ

八潮市学校給食審議会は6月27日、八潮市教育委員会に対して「八潮市公設給食センターの設置に向けた基本方針について」の答申を提出しました。
2020年6月に発生した大規模な食中毒事故から約5年を経て、「二度と食中毒事故を発生させない」公設センター方式での給食提供体制構築に向けて大きく前進することとなりました。
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※写真はイメージです。
3,453人が被害を受けた食中毒事故を受けて
八潮市では2020年6月に、市内15校の児童生徒・教員6,922人中3,453人が下痢や腹痛などの症状を訴える大規模な食中毒事故が発生しました。
これは全国でも例を見ない規模の学校給食による集団食中毒事故でした。
この事故を受けて2020年8月に設置された学校給食審議会からの答申を踏まえ、市は2025年2月に「八潮市学校給食ビジョン」を策定。
「公設センター方式」による「複数の共同調理場の設置」を目指す方針を打ち出していました。
「1カ所の建物内に2つの調理場」という独自の方式
今回の答申では、食中毒事故を二度と起こさないための具体的な設置方法として「土地1カ所で建物1つを壁で分離し、調理場を2つにすること」が基本案として示されました。
この方式の特長
- リスク分散:片方で問題が発生しても、もう片方で給食提供を継続可能
- 集中した衛生管理:1つの建物内で効率的な管理体制を構築
- コスト効率:建設・運営費用の抑制と建て替え用地の確保
- 同時提供:全校に同時期の給食提供が可能
8つの「優先すべき事項」を明確化
審議会では、公設給食センターに求められる機能として8つの重要項目を整理しました。
- 食中毒を発生させない徹底した衛生管理ができる施設
- 給食が停止した場合に早期再開可能な施設
- 栄養バランスがとれたおいしく安全・安心な適温給食を提供できる施設
- 整備の実現性があり、同時期に全校に給食提供ができる施設
- 災害に強い施設(耐震化・浸水対策等)
- 食物アレルギーに対応できる施設
- 学校給食を活用した食育への対応ができる施設
- 環境に配慮した持続可能な施設
HACCPシステムで徹底した衛生管理
新しい給食センターでは、食品安全管理の国際基準であるHACCP(ハサップ)の考え方を導入。汚染区域・非汚染区域の完全分離やドライシステムの採用により、食中毒リスクを最大限排除する設計となります。
早期実現への期待
5年前の食中毒事故により、多くの児童生徒とその家族が不安を抱えてきました。
今回の答申により、安全・安心で質の高い学校給食の提供に向けた道筋が明確になったことは、関係者にとって大きな前進と言えるでしょう。
今後は、この答申を基に「基本構想・基本計画」の策定が進められ、具体的な建設スケジュールや詳細設計が検討されることになります。











