三郷市議会議員に「議員辞職勧告」政治倫理審査会が5項目の違反を認定
議員の政治倫理をめぐって注目が集まっていた三郷市議会で、重大な決定が下されました。
市議会の政治倫理審査会は9月16日、関根和也議員(無所属)に対して「議員辞職勧告」を決定したと発表しました。
関連リンク:議員政治倫理条例に基づき「議員辞職勧告」相当であると決定しました
市長からの申し入れが発端
今回の問題は、市長が8月22日に議長宛てに提出した申し入れ書から始まりました。
申し入れ内容は、業務遂行中に大声で、特定の職員に対し犯罪者であると誹謗中傷し、職を辞するよう要求する行為やソーシャルメディアに情報を発信した行為について、即中止するよう促したが、改善する様子もないため、市議会に対し対応を求めるものでした。
申し入れには動画(DVD)と庁内対応状況の記録も添付されており、これを受けて市議会は8月25日に政治倫理審査会を設置しました。
8月18日の市役所での行為が問題に
審査会の報告書によると、令和7年8月18日(月)市役所窓口において、職員の個人名を叫び、大声で「 は官製談合やったんだよ。ここにいちゃいけないんだよ。」「犯罪者はここにいちゃいけないんだよ。」「犯罪者なんだよ は。」などを繰り返し発言した。
窓口職員が制止しようと試みるも「うるせえ お前もやめろ。」など発言したことが動画で確認されています。
さらに、SNS 等のソーシャルメディアに発信している画面の写しにより、一定の職員等の顔写真を許可なく配信した上、上記記載の内容と同等程度の誹謗中傷を繰り返していることも認定されました。
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政治倫理条例5項目に違反と認定
審査会は関根議員の一連の行為について、三郷市議会議員政治倫理条例第3条の以下5項目に違反していると認定しました。
- 第1号違反: 市民の代表として、議会及び議員の名誉及び品位を損なう一切の行為を慎むこと
- 第3号違反: 市職員等の公正な職務の執行を妨げないこと
- 第4号違反: 市職員等の採用、昇任、異動その他の人事について、不当な関与をしないこと
- 第8号違反: その地位を利用して他者へのハラスメント行為、誹謗中傷その他の人権侵害の恐れのある行為をし、又は嫌がらせ、不当な強制、圧力をかけるなどの行為をしないこと
- 第9号違反: 発言又は情報発信は、公人としての自覚及び責任をもって行い、他者の名誉を棄損し、又は人格を損なう一切の行為をしないこと
審査過程で本人は事情聴取を拒否
審査会は関根議員に対して事情聴取を求めましたが、審査対象議員曰く、弁明書により、市の条例及び審査会は違法性が高いと弁明しており、違憲である審査会の要請に応える必要はないとの理由で事情聴取に応じなかったとされています。
関根議員は弁明書で「憲法第21条で表現の自由が明記されている。これを踏まえ、条例及び審査会は違法性が高い。ハラスメントの事実はない。申し⼊れをした市⻑に対し、本行為は言論封鎖といえるため、不信任決議を求める。」との見解を示していました。
全会一致で議員辞職勧告を決定
9月16日に開かれた第4回審査会では、措置内容について無記名投票を実施しました。
会⻑を除く 9 名の投票結果は「議員辞職勧告」が9票で、他の選択肢(注意、陳謝勧告、出席自粛勧告など)は全て0票でした。
審査会は審査対象議員の事案については、市⺠の負託を受けた市議会議員が市⺠全体の代表者として、名誉と品位を損ない、三郷市議会への信用を失墜させていることに対し、「議員辞職勧告」相当であると判断したとしています。
再発防止策も提言
審査会は今回の事案を受けて、議会として講ずるべき措置も提言しています。
市職員が被害者となるハラスメント行為を全面的に防⽌するため、加害者を議員や市⺠等、職場の上司や同僚まで広げた「ハラスメントの防止に関する条例」の策定を議会として執行部へ提案することや、市議会として法令等を遵守する講習会を実施し、政治倫理基準の違反を根絶することを目指すことが盛り込まれています。
議員辞職勧告に法的拘束力はありませんが、市議会として最も重い措置となります。
今後、関根議員がこの勧告をどのように受け止めるかが注目されます。
